漏水報告書は、水漏れが起きたときに、いつ・どこで・何が起き、どこまで濡れ、何をしたかを、あとから読む人(管理会社、管理組合、保険会社、修理業者、上や下の階の人)が同じように分かるように残す書類です。主に書く項目は、発生の日時、発見者、場所、状況、被害の範囲、原因(分かる範囲)、応急処置、連絡先、写真、今後の対応の10です。
書くときのポイントは3つです。見たことと推測を分けて書く、時刻と写真をそろえる、分かったことから第1報を出し、あとで続報を足す。下のひな型(Word・Excel)は、この10の項目に、建物・当時の天気・経過(時系列)の欄を足した書式です。項目ごとの書き方、写真の撮り方、知らせる順番を順に説明します。
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漏水報告書のひな型(Word・Excel)
この記事の項目に、建物・当時の天気・経過(時系列)の欄と、写真を6枚貼れる写真台帳を付けたA4の書式です。入力する欄は薄い黄色にしてあります。
ご注意:このひな型は、一般的な項目をまとめた参考の書式です。合同会社LIT が実際の業務で使っている書式ではありません。ご利用の際は、内容をご自身でご確認のうえ、必要に応じて管理会社・保険会社・専門家にご相談ください。このひな型を使ったことによる損害について、当社は責任を負いかねます。
漏水報告書は誰が、誰に出すか
- マンションの居住者・テナント → 管理会社・管理組合 — 自分の部屋で水漏れを見つけた、上の階から水が落ちてきた
- 管理会社 → 管理組合(理事会)・建物の持ち主 — 共用部分の漏水や、住戸どうしの漏水の経過と対応
- ビルの管理担当 → 持ち主・テナント — 天井からの漏水で、店や事務所の営業に影響が出た
- 修理業者 → 頼んだ人 — 原因を確かめた結果と、修理の内容
- 被害を受けた人・漏らした側 → 保険会社 — 保険金を請求するときの、事故の状況の説明
法令や国が決めた書式はなく、会社や管理組合で使っている書式があれば、そちらに合わせます。どの書式でも、あとで話し合いや保険の手続きになったときに、最初の記録が手がかりになります。片づけたり直したりしたあとでは、同じ記録は取れません。
日本損害保険協会は、保険金を請求するときの書類として、保険金請求書のほか、修理費用を確認する書類(修理見積書、損害状況がわかる写真)や、相手との責任の内容をはっきりさせる書類(示談書など)を挙げています。必要な書類は請求の内容で違うので、ご契約の保険会社か代理店で確かめてください。報告書の写真と状況の記録は、こうした書類をそろえるときにも使えます。
漏水報告書に書く項目と書き方 — ひな型の欄の順に
- 建物 — 建物の名称、所在地、種類(マンション・ビル・店舗など)
- 発生の日時 — 気づいた日時と、水が止まった日時。分からなければ「〇時ごろ」「〇時〜〇時のあいだ」と幅で
- 発見者 — 名前、立場(居住者・テナント・管理員など)、連絡先
- 場所 — 階と部屋番号、部屋の中のどこか(天井・壁・床・窓まわり・照明器具のまわりなど)、水の出どころと思われる所
- 当時の天気 — 雨の強さと風、雪どけの時期か。雨漏りか、配管からの水漏れかを見分ける手がかりになる
- 状況 — 何が、どこから、どのくらい(1分に何滴、バケツに何杯)。水の色やにおいも
- 被害の範囲 — 濡れた所と物を部屋ごとに(内装・家具・家電・書類)。程度と写真の番号を添える
- 原因(分かる範囲) — 確かめたこと(誰が・いつ・どこを見たか)と、その判断(確定・推定・分からない)
- 応急処置 — 止水栓を閉めた、ブレーカーを切った、水を受けた、など。日時と、したことと、した人
- 連絡先 — 知らせた相手(管理会社・上下の階・保険会社・修理業者など)と、日時・伝えたこと・返事
- 経過・写真・今後の対応 — 時系列の経過、写真の一覧、原因を確かめる予定・修理の予定・保険の手続き・次の報告の予定
全部が分からなくても、分かる所から埋めて出して構いません。空けた欄に「未確認」と書いておくと、あとで確かめる所が一目で分かります。

書き方のポイント — 見たことと推測を分ける
- 見たことと推測を分ける — 「上の階の洗濯機から漏れた」ではなく、「上の階の洗面所の真下にあたる天井から落ちている。上の階の方の話では、その時間に洗濯機を使っていた」
- 判断の確かさを書く — 原因には「確定」「推定(まだ確かめていない)」「分からない」のどれかを添える
- 時刻を数字で書く — 「朝」ではなく「7時30分ごろ」。分からないときは幅で
- 量と大きさを数字で書く — しみの大きさ(縦〇cm×横〇cm)、受けた水の量
- 誰が見たかを書く — 発見者、確かめた人、話を聞いた相手
- 決めつけない — 原因が分からないうちは、誰の責任かを書かない
漏水は、原因によって直す人や費用を負担する人が変わります。マンションでは、上の階の部屋の中(専有部分)の配管か、共用の配管や屋上・外壁かで、扱いが分かれます。区分所有法は、建物の設置や保存の欠陥で他人に損害が出たとき、その欠陥は共用部分にあるものと推定する、としています(第9条)。最初の報告書で「上の階のせい」と書いてしまうと、あとで原因が違ったときに話し合いがこじれます。責任と保険の考え方は『マンションの漏水の責任と保険 — 上の階からの水漏れは誰が直すか、原因の見分け方』で説明しています。
書き方の例 — 状況・原因・応急処置の欄
- 状況の例 — 「10月28日 7時30分ごろ、502号室の洗面所の天井、照明器具の右横から水が落ちているのを居住者が見つけた。1分に10滴ほど。水は透明で、においは無い」
- 原因の例 — 「8時10分、管理員が602号室の方の了承を得て洗面所を見た。洗面台の下の給水管の継ぎ目に水滴があった。判断:推定(修理業者による確認はまだ)」
- 応急処置の例 — 「7時40分 居住者がバケツとタオルで水を受けた。7時45分 居住者が分電盤で洗面所の照明の回路を切った。8時15分 602号室の方が洗面台の下の止水栓を閉め、8時30分に水が止まった」
どれも、書き方を示すための架空の例です。このように時刻・場所・したこと・した人がそろっていると、あとから読む人が、何がどこまで分かっているかを取り違えません。
写真の撮り方 — 全体・近く・大きさの分かるもの
- 全体 — 部屋の入口から、どこが濡れているかが分かる向きで
- 近く — しみや水滴、濡れた物に寄って
- 大きさ — メジャーや定規を当てて、しみの大きさが分かるように
- 水の出どころの候補 — 上の階の水回り、点検口の中、外から見える屋根・外壁・ベランダ(安全に見られる所だけ)
- 時刻 — 撮った日時が分かるように。同じ場所を時間をおいて撮ると、広がり方が分かる
- 直す前に — 片づける前、修理の前に撮る
写真には番号を付け、報告書の「被害の範囲」や「写真」の欄にその番号を書いておくと、どの写真が何を写したものか迷いません。ひな型の最後の1枚(Excel は2枚目のシート)は、写真を6枚貼れる写真台帳です。
照明器具やコンセントの近くから水が出ているときは、写真より先に電気の安全を確かめてください。手順は『雨漏りの応急処置 — 天井から水が落ちてきたら、自分でまずやる5つのこと』で説明しています。

知らせる相手と順番
- 水を止める・電気の安全 — 止水栓を閉める。照明やコンセントの近くなら、分電盤でその部屋の回路を切る
- 管理会社・管理組合(マンション)、貸主(賃貸) — 写真を添えて第1報を。民法は、借りている人は、修繕が必要なことを遅れずに貸主に知らせなければならないとしている(第615条)
- 上の階・下の階 — 水の出どころの確認と、被害が広がっていないかの確認
- 保険会社・代理店 — 自分の火災保険(水濡れ)、漏らした側の個人賠償責任保険など。保険法は、損害が起きたことを知ったら、遅れずに保険会社へ知らせるよう定めている(第14条)
- 修理業者 — 原因を確かめて直す。給水管なら、水道の工事ができる業者に
報告書の「連絡先」の欄には、知らせた相手と日時、伝えたこと、相手の返事を書いておきます。電話で済ませた連絡も、日時と内容を書き残しておくと、「聞いていない」という行き違いを防げます。
漏水の種類ごとに書き足すこと
- 雨漏り — 雨の強さと風向き、雪どけの時期か、前にも同じ天気で漏れたか
- 給水管・給湯管 — 水道メーターの数字と読んだ時刻(水を使っていない間に2回読むと、流れ続けているかの手がかりになる)、止水栓を閉めて止まったか
- 排水管 — 台所・浴室・洗濯機など、使ったときだけ漏れるか。水の色とにおい
- 地下・ピット・駐車場 — 水の量と色(濁り・白い析出物)、雨のあとに増えるか、排水ポンプの動き
雨の日だけ漏れるのか、晴れの日も漏れるのかは、水の出どころを絞る大きな手がかりです。雨漏りの入口の探し方は『雨漏りが修理しても直らない原因 — 再発をくり返す建物の調べ方』、給水管の漏水と水道料金の扱い、修理を頼む先は『札幌市の水道の漏水 — 水道料金の減免・漏水証明の扱い、給水管・給湯管の原因と修理の費用』、地下の漏水は『地下の漏水(地下室・ピット・駐車場)— 原因と止水工事の方法』で説明しています。
第1報のあと — 続報と修理の完了の報告
- 続報 — 原因が分かった、修理の日が決まった、保険会社から連絡があった、など。経過の欄に日時の順で足す
- 修理の完了の報告 — 直した場所と方法、修理した業者、直したあとの写真、再発を防ぐ手当て
- 記録の保管 — 報告書と写真、見積書・請求書を、建物の修繕の記録としてまとめておく
国の長期修繕計画作成ガイドラインも、管理組合は点検報告書などの修繕の履歴を整理し、区分所有者などの求めがあれば見られるように保管すること、電子ファイルでも保管することが望ましいことを書いています。漏水の記録は、次に同じ所で漏れたときや、大規模修繕の計画を立てるときの手がかりになります。計画の見直しは『長期修繕計画の作り方と見直し — 国のガイドライン(令和6年改定)と北海道の建物』で説明しています。

相談する前にそろえておくこと
- 漏水報告書(分かる所まで)と写真
- いつから、どんな天気のときに漏れるか
- 建物の図面や間取り図(分かれば)
- これまでの修理の記録
合同会社LIT(札幌市)では、漏水・雨漏りの修理を、水の入口の特定から止水工事まで承っています。報告書の書式が決まっていなくても、分かる範囲の状況をお知らせいただければ、現地で確かめます。現地確認・お見積りは無料です。
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