天井から雨漏りの水が落ちてきたら、応急処置は次の順番で進めます。まず電気の安全を確かめ、次に水を受けて床と家財を守り、そのうえで写真と時刻を記録することです。それから、管理会社や修理業者に連絡します。
応急処置の目的は、雨漏りを止めることではなく、被害を広げないことです。屋根に上ったり、外から水の入口をふさいだりするのはそのあとの話で、多くは業者に任せる作業です。この記事では、室内でまずやること、防水テープ・ブルーシート・コーキングの使いどころ、冬の注意、業者に伝えること、火災保険の考え方を順に説明します。
天井から雨漏りしたら、まずやること
- 1. 電気の安全を確かめる — 照明器具・コンセント・家電の近くに水が来ていないかを見る
- 2. 水を受ける — バケツや洗面器を置き、まわりの床にシートとタオルを敷く
- 3. 物を動かす — 家具・家電・寝具・書類を、濡れない所へ移す
- 4. 記録する — 写真と動画、気づいた時刻、そのときの雨と風の様子
- 5. 連絡する — 賃貸なら貸主か管理会社、マンションなら管理会社、持ち家なら修理業者
電気を最初にするのは、水と電気が重なると、感電や火災につながるからです。消防庁は、風水害のときの火災の原因として、浸水や雨漏りで電化製品の基板などが傷み、電気が通ったときにショートして発火すること、コンセントに水分が付いてトラッキング(プラグのまわりで電気が漏れて発熱する現象)が起きて発火することを挙げています。
水を受ける・物を動かすのは、家族で手分けして構いません。濡れた手で電気のスイッチやプラグに触らないことだけは、全員で守ってください。
照明やコンセントの近くから漏れているとき — 電気の安全
- 照明器具の中やまわりから水が出ている — その照明は使わない。濡れたスイッチやプラグに触らない。心配なときは、分電盤でその部屋のブレーカーを切る
- 煙が出る・焦げたにおいがする — すぐにブレーカーを切り、消防に連絡する(消防庁)
- 漏電ブレーカーが切れた — 漏れている回路は、電気工事店に点検と修理を頼む。自分で戻すのが不安なときや、また切れるときは電力会社に連絡する(関東電気保安協会)
- 濡れた家電 — 乾いたように見えても電源を入れず、メーカーか販売店に点検してもらう
製品評価技術基盤機構(NITE)は、水に浸かった家電製品について、外側が乾いても中に水が残っていたり、汚れが付いていたりすると、火災を起こすおそれがあるとしています。雨漏りの水をかぶった家電も、同じように考えてください。
照明器具やコンセントのまわりの修理は、電気工事の業者の仕事です。雨漏りの修理業者に連絡するときも、電気の近くから漏れていることを最初に伝えてください。

水を受ける・吸わせる — 床と家財を守る
- バケツや洗面器の底に雑巾を入れておくと、水はねが減る
- 床にはレジャーシートやビニールシートを広めに敷き、その上にタオルを置く
- 落ちる場所が広いときや、壁を伝って落ちるときは、吸水シート(紙おむつ・ペット用のシートなど)や雑巾を並べる
- 動かせない家具や家電は、ビニールやごみ袋でおおう
- たまった水はこまめに捨て、受け皿があふれないようにする
水は、天井のしみの真下に落ちるとは限りません。天井の裏を伝って、離れた所や壁の中から出てくることもあります。落ちている所だけでなく、まわりの天井や壁、窓まわりも時々見てください。
マンションやビルで下の階があるときは、床にしみた水が下の部屋へ回ることがあります。床を濡らさないことは、下の階への被害を防ぐことにもなります。雨がやんだら、窓を開けるなどして濡れた所を乾かします。
天井がたわんで膨らんでいるときは、近づかない
- たわみや膨らみの真下に立たない・物を置かない。子どもやペットを近づけない
- 膨らんだ所の真ん中を突いたり、穴をあけたりして水を抜こうとしない
- たわみが大きくなる、照明器具のまわりが下がってくるときは、その部屋を使わずに急いで業者へ連絡する
天井によく使われる石膏ボードは、水を吸うと弱くなります。ニュージーランドの石膏ボードメーカー(GIB)の資料(2023年2月)は、ボードの表と裏の紙が水を吸いきると、曲げや引っ張りの強さのほとんどを失うこと、天井のボードは溜まった水と自分の重さ、濡れた断熱材の重さでたわみやすく、多くは取り替えが必要になることを書いています。
天井に穴をあけて水を抜く方法を紹介する情報もありますが、ご自分ではやらないでください。同じ資料も、膨らんだ所の真ん中から始めると天井が落ちるおそれがあるとして、端から少しずつ進めるよう注意しています。水を含んだ天井は重く、落ちてくると危険です。
写真と時刻を記録する — 原因を見つける手がかりになる
- しみや水滴の写真と動画(水の落ちる間隔が分かるように)
- 気づいた時刻と、止まった時刻
- そのときの雨の強さと風の向き(強い雨か、横なぐりの雨か、雪どけか)
- 濡れた家具・家電・床・壁の写真
- 窓や地上から見える範囲の、屋根・外壁・とい・ベランダの様子
雨漏りは、しみが出ている所(出口)と、雨水が入っている所(入口)が離れていることが多いものです。入口を見つけるいちばんの手がかりは、どんな雨のときに漏れたかの記録です。詳しくはコラム『雨漏りが修理しても直らない原因 — 再発をくり返す建物の調べ方』で説明しています。
写真は、修理の前に撮っておいてください。火災保険を使うか考える場合も、被害の写真が手がかりになります。

防水テープ・ブルーシート・コーキングの使いどころ
- 防水テープ — 外側の、水の入口がはっきりしている所に貼る(といの割れ、ベランダの手すりや窓枠の外側の割れ目など)。地面や安全なベランダから手が届く所だけ
- ブルーシート — 屋根材が飛んだ・割れたなど、屋根そのものが壊れたとき。屋根の上の作業になるので業者に頼む
- コーキング(すき間を埋めるゴム状の材料) — 雨がやんで乾いたあと、外側の小さなすき間に。濡れた面や汚れた面にはつきにくい
- 室内側からふさがない — 天井のしみや水の出口をテープやコーキングでふさぐと、水は天井の裏で別の所へ回る
テープもコーキングも、乾いた、汚れのない面でないとよくつきません。雨の最中に外で貼るのは難しく、濡れた足元での作業は危険でもあります。外側の手当ては、雨がやんでからで構いません。
入口かどうか分からない所に、むやみにテープやコーキングを足すのも避けてください。建物には、入った水を外へ逃がすためのすき間もあります。そこをふさぐと、水が中にこもって別の場所から出てくることがあります。
どれも雨を一時的にしのぐための手当てで、直したことにはなりません。内閣府(防災担当)が台風の被害のあとに共有した、NPO団体の資料「長持ちするブルーシートの張り方」も、ブルーシートはあくまで応急処置で、通常3〜6か月で劣化するとしています。
屋根に上らない — 高い所の応急処置は業者に任せる
雨漏りの応急処置でいちばん避けたいのは、ご自分で屋根に上ることです。消費者庁が2014年に公表した注意喚起では、脚立・はしごからの転落事故の情報が437件寄せられ、うち8件は亡くなる事故でした。事故の状況は庭木の剪定がもっとも多く、次いで屋根の修繕で、年齢の分かる事故では50歳以上が7割強を占めていました。
先に挙げたブルーシートの資料も、屋根の上では2人以上で作業し、命綱やヘルメットを使うこと、雨や強風のときの屋根の作業は大変危険なこと、長く濡れていた屋根は傷んでいて踏み抜くことがあることを挙げています。雨の中、濡れた屋根に上るのは、専門の業者でも慎重になる作業です。
台風や大雨のあとには、突然訪ねてきて「屋根が壊れている」「保険を使えば負担なく直せる」と勧める業者とのトラブルも起きています。日本損害保険協会は、住宅の修理を業者と契約する前に、契約している損害保険会社か代理店に相談するよう呼びかけています。その場で契約しないでください。
冬・雪の時期の雨漏り(すがもり)の注意
北海道では、雨の日ではなく、雪が積もっている時期の晴れた日や暖かい日に、天井から水が落ちてくることがあります。屋根の雪が融けた水が軒先の氷にせき止められて入る、すがもり(すが漏り)です。室内でやる応急処置は雨漏りと同じで、電気の安全、水を受ける、記録するの順です。
違うのは、屋根の上に雪と氷があることです。屋根の雪下ろしや、軒先の氷を割る作業はご自分でやらず、業者に頼んでください。原因と対策は『すがもり(すが漏り)とは?原因・雨漏りとの違い・対策と応急処置』で詳しく書いています。
ブルーシートを張ったまま冬を迎える屋根にも注意がいります。防災科学技術研究所の資料(2004年)は、ブルーシートは滑りやすく、屋根の雪が滑り落ちやすいこと、冷え込んで雪が凍り付くと、ある程度積もってから急に滑り落ちることがあること、落ちた雪に人が当たるとけがをしたり埋まったりするおそれがあることを挙げ、軒下に人が立ち入らない対策をすすめています。

賃貸・マンション・新築の家では、まず誰に連絡するか
賃貸の部屋では、まず貸主か管理会社に連絡し、写真を送ってください。民法は、貸主が、借りた人が使うのに必要な修繕をする義務を負うこと(借りた人の責任で必要になった修繕は除く)、借りた人は修繕が必要なことを遅れずに貸主に知らせなければならないことを定めています(第606条・第615条)。知らせても貸主が相当の期間内に修繕しないときや、急迫の事情があるときは、借りた人が修繕できるとも定めています(第607条の2)。水を受けるなどの室内の応急処置は、知らせるのと並行して進めてください。
マンションでは、上の階の部屋から漏れているのか、屋上や外壁など共用部分から雨水が入っているのかで、直す人が変わります。まず管理会社か管理組合に知らせてください。見分け方は『マンションの漏水・上の階からの水漏れ — 原因の見分け方と、誰が直すか』で説明しています。
新築から10年以内の住宅なら、建てた会社や売主にも連絡してください。住宅品確法は、新築住宅の雨水の浸入を防止する部分の欠陥について、引き渡しから10年間、建てた会社や売主が責任を負うと定めています(第94条・第95条)。
雨漏りは火災保険の対象になるか
補償されるかどうかは、契約の内容と、雨漏りの原因で決まります。支払うかどうかを決めるのは保険会社です。ここでは、公開されている資料から考え方を紹介します。
たとえば損保ジャパンの個人用火災総合保険のパンフレット兼重要事項等説明書(2025年9月版)は、風災・雹災・雪災による損害を補償の範囲に入れる一方、保険金を支払えない主な場合として、建物が自然に古くなったこと(屋根材のずれや釘のゆるみ、浮き上がりなどを含む)による損害と、雨漏りや、雨・雪・融雪水などの吹き込み・浸み込み・漏入による損害を挙げています。保険の約款の中には、こうした吹き込みや漏入による損害は、建物の外側が風災などの事故で壊れ、その壊れた所から入った場合にかぎる、と書いているものもあります。
この考え方に沿うと、台風で屋根材が飛ばされた、雪の重みでといが壊れたといった事故のあとの雨漏りは対象になりうる一方、屋根や外壁が古くなって起きた雨漏りは、対象にならないことが多いと読めます。日本損害保険協会も、自然の消耗や劣化、さびなどによって生じた損害は支払いの対象にならないとしています。
火災保険を使うか考えるときに確かめること
- 保険証券で、建物が保険の対象に入っているか、風災・雹災・雪災の補償が付いているか
- いつ、何があって壊れたか(台風・大雪・ひょうなどの日付)
- 修理する前の、被害の写真
- 修理の契約をする前に、保険会社か代理店に連絡する
- 保険金を請求する権利は、保険法で、請求できる時から3年で時効になる(第95条)
補償の範囲や言葉の決め方は、保険会社・商品・契約した時期で違います。手元の証券と約款で確かめてください。
原因を確かめる費用や修理の費用の相場は、『雨漏り修理の費用相場 — 箇所別の目安と、原因を確かめる費用』でまとめています。

業者に連絡するときに伝えること
- 建物の種類(戸建て・マンション・ビル・店舗)と、何階のどの部屋か
- 今も水が落ちているか、どのくらいの早さでたまるか
- 照明やコンセントの近くか、天井のたわみがあるか
- いつから、どんな天気のときに漏れたか(強い雨・風のある雨・雪どけ)
- 屋根の形(三角の屋根・平らな屋根・無落雪屋根など)と、建てた時期
- 前に雨漏りを直したことがあるか(いつ、どこを)
- 撮った写真と動画
電気の近くかどうかと、天井のたわみは、急ぐかどうかの判断に要るので、最初に伝えてください。
修理は、その場の応急の手当てと、水の入口を突き止めて止める本修理の2段階になることがあります。本修理にかかる日数は、入口の場所と広さ、足場が要るか、天気によって変わります。
合同会社LIT(札幌市)では、雨漏り・漏水の修理を、水の入口の特定から止水工事まで承っています。現地確認・お見積りは無料です。
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