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公開 保全工事

マンションの漏水・上の階からの水漏れ — 原因の見分け方と、誰が直すか

マンションで上の階から水漏れしたとき、誰が直し、誰が負担するかは、水の出どころで決まります。上の階の住戸の中の配管や設備(専有部分)から漏れたなら、その住戸の側です。建物の骨組みや外壁、屋上、縦に通る配管(共用部分)から漏れたなら、管理組合の側です。

マンションの漏水の原因は、大きく分けて給水・給湯・排水の配管、上の階の設備や使い方、外壁・屋上・ベランダから入る雨水、結露の4つです。まず水を止め、管理会社に連絡し、写真を残してから、どこから来た水かを確かめます。この記事では、その順番と、区分所有法と国土交通省のマンション標準管理規約での分け方、保険の考え方を説明します。

上の階から水漏れしたら、まずやること

  • 管理会社(管理組合)に連絡する — 夜間や休日の緊急の連絡先があればそこへ。上の階の住人への連絡や、共用部分の配管の水を止める手配を頼む
  • 上の階に知らせる — 水を使うのを止めてもらう。留守なら管理会社に伝える
  • 電気に気をつける — 照明器具やコンセントの近くが濡れているときは、それを使わない。濡れた家電はすぐに電源を入れない
  • 受ける・移す — バケツやシートで水を受け、下にある家具や家電を動かす
  • 記録する — しみや水滴の写真と動画、気づいた日時、その日の天気、上の階で水を使っていたか

製品評価技術基盤機構(NITE)は、濡れた直後に電源を入れると、ショートして異常な発熱や発煙が起きるおそれがあるとしています。使う前に、取扱説明書を見るか、メーカーや販売店に確かめてください。

写真は、直したあとでは撮れません。保険の請求や、誰の負担かを話し合うときの材料になるので、片づける前に撮っておきます。

自分の部屋から漏れていそうなとき — 元栓を閉める

下の階から「水が落ちてくる」と言われたら、自分の部屋が原因かもしれません。札幌市水道局は、家の中の水道管から水が吹き出しているときは、すぐに水抜き栓か中間バルブを閉めて、指定給水装置工事事業者(市が指定した水道工事の会社)に修理を申し込むよう案内しています。

マンションの住戸の水道メーターは、廊下などのパイプシャフト(メーターボックス)の中にあります(札幌市水道局の広報紙)。止水栓(元栓)の場所が分からないときは、管理会社に聞いてください。洗濯機の給水ホースや排水口、給湯器、トイレのタンクまわりなど、目に見えるところから漏れていないかも見ます。

水を止めたら、すぐに管理会社と下の階に知らせます。下の階の天井裏で、水が広がっていることがあるからです。

水が噴き出す配管を、手で押さえて確かめる作業員

マンションの漏水の主な原因

  • 給水管・給湯管 — いつも水圧がかかっている管で、継ぎ目や古くなった管から漏れる。水を使っていないときも漏れ続けるのが特徴
  • 排水管 — 台所・浴室・洗面・トイレの排水の管。上の階で水を流したときに漏れる。詰まりで水があふれることもある
  • 上の階の設備や使い方 — 洗濯機のホースが外れた、浴槽や洗面台の水があふれた、浴室の防水が傷んでいる、など
  • 外壁・屋上・ベランダ・窓まわりから入る雨水 — 最上階や、外壁に面した部屋で起きる。雨の日や雪解けのときに出る
  • 結露 — 冷えた外壁や窓、配管の表面に、室内の湿気が水滴になってつく。冬の朝に、外壁側の壁や押し入れが濡れる

マンションの水漏れは珍しいことではありません。国土交通省が全国の管理組合に行った令和5年度のアンケートでは、過去1年間に起きた建物の不具合に関するトラブルのうち、「水漏れ」が20.1%といちばん多く、次いで「雨漏り」が10.7%でした(重複回答)。

原因の見分け方 — いつ、どこに、どんな水が出るか

  • 上の階で水を使ったときだけ — 排水管や、浴室・洗面・台所などの設備を疑う
  • 水を使っていないのに続く — 給水管・給湯管を疑う
  • 雨の日や、風の強い雨のときだけ — 外壁・サッシまわり・屋上・ベランダを疑う
  • 雪解けの時期や冬の晴れた日 — 最上階なら、屋上の排水口の凍結や、すがもり(すが漏り)を疑う
  • 冬の朝、外壁側に出る — 結露を疑う

水の様子も手がかりになります。澄んでいてにおいがなければ給水や雨水、においや汚れがあれば排水を疑います。温かい水なら、給湯管や浴槽のお湯を疑います。

原因がはっきりしないときは、上の階で場所ごとに順番に水を流してもらう、配管の点検口から管の様子を見る、外から水をかけて漏れが出るかを試す、という順で確かめていきます。雨が原因のときの確かめ方は『雨漏りが修理しても直らない原因 — 再発をくり返す建物の調べ方』で説明しています。

専有部分と共用部分 — どこまでが誰の持ち物か

  • 専有部分(各住戸の持ち物) — 住戸の内装(天井・床・壁のうち、コンクリートの躯体を除く部分)、住戸の中の設備、給水管のうち各住戸のメーターより先の部分など
  • 共用部分(区分所有者全員の持ち物) — 躯体、床スラブ(床のコンクリート)、外壁、屋上、屋根、廊下や階段、給水管のうち本管から各住戸のメーターまで、排水管のうち立て管と継手、窓枠と窓ガラス、バルコニーなど

区分所有法は、マンションの建物を、各住戸が持つ専有部分と、それ以外の共用部分に分けています(第2条)。どこが境目かは、それぞれのマンションの管理規約で決めます。上の分け方は、国土交通省が示す「マンション標準管理規約」(単棟型、2025年10月17日改正)のひな形にもとづいています。バルコニーは共用部分で、ふだん使う住戸に専用で使う権利がある、という扱いです。

標準管理規約は、住戸の専用の設備でも、共用部分の中にある部分は専有部分にしない、としています(第7条第3項)。床のコンクリートの中や、ほかの住戸を通る配管は、ここに当たるかどうかで扱いが変わります。また、専有部分の配管でも、共用部分の配管と一体で直す必要があるときは、総会の決議を経て管理組合が工事できる、という定めもあります(第21条第2項)。

ひな形なので、自分のマンションの規約では違う定め方をしていることもあります。管理会社に、規約の「専有部分の範囲」と「共用部分の範囲」を見せてもらってください。

夕暮れの中層マンションの外観

誰が直し、誰が負担するか

  • 上の階の専有部分が原因 — 上の階の住戸の側が直す。下の階の損害は、上の階の側に賠償を求める
  • 共用部分が原因 — 管理組合が直す(標準管理規約では、共用部分の管理は管理組合がその責任と負担で行う)。下の階の損害も、管理組合の側に賠償を求める
  • どちらか分からない — 区分所有法は、建物の設置や保存の欠陥(瑕疵)で他人に損害が出たとき、その欠陥は共用部分にあるものと推定する、としている(第9条)
  • 下の階の部屋の中 — 内装や家財の傷みは、原因になった側に負担を求める。自分の火災保険で先に直せることもある(後の節)

賠償の考え方の土台は民法です。故意や過失で他人に損害を与えた人は賠償する責任を負います(第709条)。建物などの設置や保存に欠陥があって他人に損害が出たときは、まずそれを占有している人が責任を負い、占有している人が必要な注意をしていたときは、所有者が責任を負います(第717条)。上の階が賃貸なら、住んでいる人と部屋の持ち主のどちらに求めるかは、この考え方が基本になります。

共用部分については、最高裁判所が2026年1月22日、外壁のコンクリートや床スラブのひび割れから住戸に漏水した事案で、管理組合は特段の事情がない限り共用部分の「占有者」に当たると判断し、管理組合への賠償の請求を退けた高等裁判所の判決を破棄しました。

部屋を借りて住んでいる場合は、まず貸主か管理会社に知らせます。民法は、貸主に、使うために必要な修繕をする義務があると定めています(第606条)。

管理組合は、上の階の部屋に入って直せるか

標準管理規約は、管理をする人が、必要な範囲でほかの住戸への立ち入りや、その住戸での修理を求めることができ、求められた人は正当な理由がなければ拒めない、としています。正当な理由なく拒んだ人は、その結果生じた損害を賠償しなければなりません(第23条)。

さらに、災害や事故で、すぐに立ち入らないと共用部分やほかの住戸に重大な影響が出るおそれがあるときは、理事長が自ら立ち入ったり、修理したりできるとしています。規約のコメントでは、ある住戸の配管から漏水して共用部分に被害が出ている場合などを想定していると説明しています。上の階が留守で連絡がつかないときは、この点を管理会社と相談してください。

保険の考え方 — 漏らした側・漏れた側・管理組合

  • 漏らした側(上の階) — 個人賠償責任保険。日本損害保険協会は、補償の対象になる例として、マンションの自宅の風呂場からの水漏れで階下の住戸の家財に損害を与えた場合を挙げている。火災保険や自動車保険などの特約として入っている場合が多い
  • 漏れた側(下の階) — 自分の火災保険の「水濡れ」の補償。日本損害保険協会の説明では、給排水設備に生じた事故による漏水や、あふれた水による水濡れを補償するタイプと、補償しないタイプがある
  • 部屋を借りている人 — 下の階など他人への賠償は個人賠償責任保険。借家人賠償責任保険は、日本損害保険協会の説明では、火災や破裂・爆発などで借りた部屋に損害を与え、家主に賠償するときの補償で、別の保険になる
  • 管理組合 — 共用部分にかける火災保険(マンション総合保険など)。共用部分の欠陥で他人に損害を与えたときの賠償に備える補償が付いているかは、保険証券で確かめる

日本損害保険協会は、施設賠償責任保険を、所有・使用・管理している施設の欠陥などで法律上の損害賠償責任を負ったときの損害を補償するもの、と説明しています。管理組合の保険にこうした補償があるかは、管理会社を通して確かめてもらいます。

どの保険から払われるかは、原因と契約で決まります。まずそれぞれが自分の保険会社か代理店に連絡し、修理の前に写真と、原因が分かる書類(修理の会社の報告や見積書)をそろえます。保険金を請求する権利は、保険法で、請求できる時から3年で時効になります(第95条)。損害賠償を求める権利は、民法で、損害と相手を知った時から3年で時効になります(第724条)。

給水管・給湯管の漏水の原因と修理の費用の相場は、『給水管・給湯管の漏水 — 原因と修理の費用、札幌市の水道料金の減免』でまとめています。

マンションのエントランスの集合ポスト

北海道・札幌のマンションで、冬に気をつけたいこと

札幌市水道局は、12月から2月にかけて水道の凍結事故が多いとして、「マイナス4℃で水道凍結注意」と呼びかけています。凍結を防ぐには水抜き栓での水抜きが効果的で、水抜き栓の開け閉めが不完全だと、水が抜けきらずに凍結や破裂の原因になるとしています。水抜き栓のある住戸では、冬になる前に点検してください。

最上階では、屋根や屋上の雪が融けた水が、凍った排水口や軒先の氷にせき止められて入る、すがもり(すが漏り)も起こります。仕組みと対策は『すがもり(すが漏り)とは?原因・雨漏りとの違い・対策と応急処置』で説明しています。屋上や外壁は共用部分なので、最上階の天井に出たしみも、まず管理会社に知らせます。

直すときの流れ — 止める・乾かす・元に戻す

  • 1. 原因の箇所を直す — 配管の交換や継ぎ目の補修、設備の修理。外壁や屋上なら、防水やシーリング(すき間を埋めるゴム状の材料)の補修
  • 2. 濡れたところを乾かす — 天井裏や壁の中の断熱材・下地が乾いたか、カビが出ていないかを確かめる
  • 3. 内装を元に戻す — 天井のボードやクロス、床の張り替えなど

原因の側と、被害を受けた部屋の側で、直す人と払う人が別になることがあります。どこまでを誰が直すかを、管理会社を通して先に決めておくと、工事が途中で止まりません。

費用は、原因の箇所がどこにあるか(住戸の中か、共用の配管スペースや外壁か)、床や天井を開ける範囲、足場が要るか、濡れた範囲の広さで変わります。

管理会社や修理の会社に伝えると早いこと

  • 部屋番号と、水が出ている場所(天井・壁・床の、部屋のどのあたりか)
  • 気づいた日時と、今も続いているか、止まったか
  • そのときの天気と、上の階で水を使っていたか
  • 写真と動画
  • 加入している保険(火災保険・個人賠償責任保険)

話し合いがまとまらないときの相談先として、札幌市は北海道マンション管理組合連合会と協力し、分譲マンションの維持管理の無料相談を行っています。

合同会社LIT(札幌市)では、雨漏り・漏水の修理を、水の入口の特定から止水工事まで承っています。現地確認・お見積りは無料です。

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