雨漏り修理の費用は、原因を確かめる費用、応急処置の費用、修理(工事)の費用の3つに分けて考えると見通しが立ちます。業者が公開している価格を比べると、目で見る点検は無料としている会社があり、散水試験は1回およそ7万〜20万円、赤外線カメラで調べる費用はおよそ4.5万〜18万円、ブルーシートの応急処置はおよそ8,000〜3.5万円です(どれも業者3〜4社の公開価格の幅で、税込・税抜・税の記載なしが混ざっています。2026年10月時点)。
一方、修理そのものの費用は、雨水の入口がどこか(屋根・屋上・外壁・ベランダ・窓まわり)と、直す範囲、足場が要るかで大きく変わります。箇所ごとの修理代を同じ物差しで公開している会社は、2026年10月に確かめた範囲では1社だけでした。そのためこの記事では、箇所別の修理代は数字で書かず、何で決まるかを説明します。値段の手がかりとして、札幌市が公共工事に使っている単価を紹介します。
雨漏り修理の費用は3つに分かれる
- 原因を確かめる費用 — 目で見る点検、散水試験(水をかけて漏れを再現する)、赤外線カメラ、発光液など。どこまで確かめるかで変わる
- 応急処置の費用 — 本修理までのあいだ、ブルーシートや防水テープで雨をしのぐ手当て
- 修理の費用 — 雨水の入口をふさぐ工事。材料と手間のほかに、足場、古い材料の撤去、下地の補修、室内の天井や壁を元に戻す工事がかかることがある
- 諸経費 — 現場の管理や運搬、会社の経費。見積書では「諸経費」「共通仮設費」などの名前で載る
見積書を比べるときは、これらが分かれて書かれているかを見ます。原因を確かめる費用を修理代に含める会社もあれば、別に請求する会社もあります。合計の金額だけを並べても、中身が違えば比べられません。
雨漏りでいちばん費用がふくらむのは、原因が分からないまま工事をして、止まらずにやり直す場合です。しみが出ている場所と雨水の入口は、離れていることが多いからです。この仕組みと、散水試験・赤外線カメラ・発光液の得意・不得意は、『雨漏りが修理しても直らない原因 — 再発をくり返す建物の調べ方』で説明しています。
原因を確かめる費用の相場 — 目視・散水試験・赤外線
- 目で見る点検 — 0円としている会社がある(3社、うち札幌1社)。散水などの試験は別料金
- 散水試験 — 1回・1か所あたり およそ7万〜20.35万円(4社。全国の例で、北海道の会社の公開価格は見つからなかった)
- 赤外線カメラ(サーモグラフィ) — 1件 およそ4.5万〜18万円(札幌1社と全国2社。説明書・報告書の料金を含めて比べた値)
- 発光液(紫外線で光る液) — 単独の料金を公開している会社が見つからず、相場は書けない
どれも、別々の会社が自社のページで公開している価格を、2026年10月に比べた幅です。税込・税抜・税の記載なしが混ざっています。散水試験のいちばん高い値は、「原因が分かったときだけ払う」という決め方の会社のものです。
足場の費用や報告書を料金に含むかは、会社ごとに違います。同じ「散水試験」でも、中身をそろえてから比べてください。

散水試験・赤外線の費用が上下する理由
- 水をかける場所の数 — 疑う場所を1か所ずつ区切ってかけるため、候補が多いほど回数と時間が増える
- 高さと足場 — はしごで届かない屋根や外壁の高い所は、足場や高所作業車が要る
- 報告書 — 写真つきの報告書を付けるか、別料金か
- 室内側の確認 — 天井の点検口から天井裏を見るか、天井の一部をはがすか
- 原因が見つからなかったとき — 料金を払うのか、払わなくてよいのか
散水試験は、水が室内に出てくるまで時間がかかることがあり、1日で終わらないこともあります。何か所に、それぞれどのくらい水をかけるのか、1日でいくつ試すのかを、見積もりの前に聞いておくと比べやすくなります。
原因を確かめる費用は、つい省きたくなる費用です。ただ、入口が分からないまま広い範囲を工事するより、入口を絞ってから小さく直すほうが、合計が安くなることがあります。
応急処置(ブルーシート)の費用と、災害救助法の上限
- ブルーシートの応急処置(業者の価格) — 1件 およそ8,000〜3.5万円(3社。全国の例で、北海道の会社は見つからなかった。うち1社は料金表ではなく施工の実例の金額)
- 災害救助法の応急修理の上限(公費) — 1世帯あたり56,400円以内(令和8年度)。ブルーシート・ロープ・土のうなどの資材費と、建設業者などの施工費の合計
- 災害救助法の対象 — 災害救助法が適用された災害で、屋根などが壊れ、準半壊以上(損害の割合10%以上)に当たる住まい。災害の発生から10日以内に終える
業者の応急処置の費用は、壊れた範囲と屋根の高さで変わります。そのまま本修理を頼むと、応急処置の費用を差し引く会社もあります。
災害救助法の56,400円は、相場ではありません。大きな災害で国の制度が適用されたとき、自治体が業者などに頼んでブルーシート張りなどの緊急の修理をする場合の、公費の上限です(内閣府の資料)。ふだんの雨漏りや、古くなって起きた雨漏りには使えません。適用されたときは、自治体がホームページや広報で知らせます。
ブルーシートは雨を一時的にしのぐもので、直したことにはなりません。屋根の上の作業は転落の危険が大きいので、業者に頼んでください。
修理の費用が、箇所ごとに大きく変わる理由
- 屋根(三角の勾配屋根) — 屋根材のずれや割れを直すだけか、下に敷いた防水シート(下ぶき材)まで替えるか。板金の継ぎ目や、屋根と外壁がぶつかる所の直し方
- 屋上(平らな屋根) — 防水層の傷んだ所だけを直すか、全体に上からかぶせて直すか。排水口(ドレン)のまわりや、壁に立ち上がる部分の補修
- 外壁 — ひび割れの幅と長さ、目地のシーリング(すき間を埋めるゴム状の材料)、タイルの浮き
- ベランダ・バルコニー — 床の防水の傷み、排水口の詰まり、手すりの根元、壁の上の笠木(かさぎ)の継ぎ目
- 窓・サッシまわり、天窓 — 枠のまわりのシーリングを打ち替えるだけで済むか、枠の下の防水まで直すか
同じ「屋根の雨漏り」でも、入口が釘穴1か所なのか、屋根の広い範囲が傷んでいるのかで、工事の大きさはまるで違います。箇所の名前だけでは値段が決まらないのは、このためです。
費用を大きく動かすのは、直す範囲(部分か全体か)、足場(要るか、何面か)、撤去と下地(古い材料をはがすか、下地が腐っていないか)、室内の復旧(天井や壁紙の張り替え)の4つです。雨漏りが長く続いた建物ほど、下地や内装の傷みが広がり、費用が増えます。
屋上の防水を全体で直す場合の、工法ごとの1㎡あたりの値段は『屋上防水の費用相場 — 工法別の平米単価と、見積書の見方』にまとめています。

札幌市の公共工事の単価で見る、修理の値段の例
- ひび割れの補修(樹脂のすりこみ・幅0.2mm未満) — 1mあたり846円
- ひび割れの補修(溝を彫ってシーリング材を詰めるUカット) — 1mあたり2,480〜3,040円
- ひび割れの補修(エポキシ樹脂の注入) — 1mあたり5,480〜6,390円(幅0.2〜1.0mmの区分や、注入の方式で分かれる)
- ウレタン塗膜防水(密着工法の平らな面) — 1㎡あたり 新設7,100〜8,000円、既存のウレタンの上から直す改修6,540〜8,640円(面積が大きいほど安い)
- 改修用のドレン(雨水の排水口) — 1か所 17,800〜19,500円
- 排水口(ドレイン)の洗浄 — 基本料金38,000円+1か所23,000円(5階建て程度の市営住宅を想定)
上の値は、札幌市の「令和8年度 建築工事設計資材単価表」(2026年4月、財政局)によるものです。札幌市が自ら価格を調べて決めた、公共工事の費用を見積もるための単価で、材料と手間の両方を含みます。ただし足場、共通仮設、現場の管理費、会社の一般管理費は含みません。税込か税抜かは、表に書かれていません。
たとえば外壁のひび割れ3mに樹脂を注入するなら、単価だけで約1.6万〜1.9万円の計算です。実際の見積もりでは、ここに足場や経費が加わります。民間の工事は条件が違うので、この単価がそのまま請求額になるわけではありません。
手間の値段の目安としては、国土交通省の公共工事設計労務単価(令和8年3月から)で、北海道の防水工は1人1日(8時間)33,300円です。これは職人に払う賃金の目安で、会社の経費は含みません。
火災保険・補助金・賃貸の場合の費用の負担
台風や大雪で壊れた所から入った雨漏りは、火災保険の補償の対象になりうる一方、古くなって起きた雨漏りは対象にならないことが多い、というのが保険会社の公開資料からの読み方です。支払うかどうかを決めるのは保険会社で、契約と原因によります。この考え方と、賃貸の部屋で誰が直すか、新築から10年以内の家の扱い、室内でできる応急処置の手順は、『雨漏りの応急処置 — 天井から水が落ちてきたら、まずやること』にまとめています。
「保険金を使えば自己負担なく直せる」と勧める業者には注意してください。国民生活センターは、保険金が支払われるかは分からないこと、保険金の申請は業者ではなく、契約している保険会社か代理店に直接たずねることを呼びかけています。
補助金では、札幌市住宅エコリフォーム補助制度(令和8年度)は断熱などの省エネ改修とバリアフリー改修が対象で、パンフレットと実施要領に載る対象工事に、雨漏りの修理はありません(2026年10月に確かめた範囲)。
見積書で確かめること
- 原因を確かめた範囲と方法(どこに、何回、水をかけたか)と、その結果
- 直す場所と範囲が、数量(m・㎡・か所)で書かれているか。「雨漏り修理 一式」だけになっていないか
- 足場・高所作業車・撤去・下地の補修・室内の復旧が、含まれているか、別か
- 税込か税抜か、諸経費がいくらか
- 保証の中身 — 「雨漏りを止める」約束か、「この箇所を補修する」約束か。期間と、再発したときの扱い
見積もりは1社で決めず、同じ範囲で複数の会社から取って比べてください。突然訪ねてきた業者の「無料で点検します」から始まる勧誘には注意が要ります。国民生活センターの2023年10月の発表では、屋根工事の点検商法の相談は2022年度に過去5年で最も多く、2018年度の約3倍で、契約した人の8割超が60歳以上でした。発表は、その場で契約しないこと、家を建てた工務店などに相談すること、複数の会社から見積もりを取ることをすすめています。
訪問販売に当たる契約なら、特定商取引法により、契約書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフができると、同じ発表で案内されています。不安なときは、消費者ホットライン188に相談できます。

北海道・札幌で、費用と時期が変わるところ
冬は、雪と寒さで屋根や屋上の工事ができない日が増えます。国の公共建築工事標準仕様書(令和7年版)は、防水工事を、雨や雪が予想されるとき、下地が乾いていないとき、気温が著しく下がったときには行わないとし、シーリングは、塗る面が5℃以下になるおそれがあるときは、保温などの手当てをしない限り作業を中止するとしています。
そのため雪の時期の雨漏りは、まず応急の手当てをして、本修理は雪が消えてからにすることがあります。冬に本修理をするなら、雪をよける作業や、シートで囲って温める手当ての費用が加わることがあります。雪のある時期だけ漏れるなら、雨ではなく、屋根の雪が融けた水によるすがもり(すが漏り)を疑います。
相談する前にそろえておくこと
- いつから、どんな天気(強い雨・風のある雨・雪どけ)のときに漏れるか
- しみの場所と、屋根・外壁・ベランダの様子の写真
- 建てた時期と、これまでの修理(いつ、どこを、どの会社が)
- 火災保険の証券(保険を使うか考えている場合)
記録がそろっていると、原因を確かめる範囲を絞れるので、その分の費用と日数を抑えられます。急いで直す所と、時期を選べる所を分けて見積もってもらうのも一つの方法です。
合同会社LIT(札幌市)では、雨漏り・漏水の修理を、水の入口の特定から止水工事まで承っています。現地確認・お見積りは無料です。
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