屋上防水の費用相場を1㎡あたりの単価で見ると、札幌市が公共工事の積算に使う令和8年度の単価(材料と手間込み・新しく施工する平場)では、ウレタン塗膜防水の密着工法が7,100〜8,000円、湿気を逃がす通気緩衝工法が9,370〜10,450円、改質アスファルトシート防水のトーチ工法が5,440〜8,110円、常温粘着工法が8,310円です。この単価には、足場などの仮設、現場の管理費、会社の経費は入っていません。税の記載もありません。
施工会社が公開している価格(別々の会社の表示の最小〜最大)では、ウレタン密着工法が2,500〜5,500円、通気緩衝工法が4,500〜11,000円、塩ビシートの機械的固定工法が4,500〜8,800円、FRP防水が4,000〜8,800円です。札幌の会社に限ると、シート防水(材質・工法の記載なし)が3,500〜5,000円、FRP防水が5,000〜7,000円でした(2026年10月に各社のページで確認。税込と税の記載なしが混在)。多くは「〜円から」という下限の表示で、撤去・下地調整・排水口(ドレン)・足場は別にかかります。
工法別の平米単価 — 札幌市の令和8年度の単価
- ウレタン塗膜防水・密着工法(X-2) — 新設 7,100〜8,000円/既存のウレタンの上にかぶせる改修 6,540〜8,640円
- ウレタン塗膜防水・通気緩衝工法(X-1) — 新設 9,370〜10,450円/コンクリートで押さえた屋上(保護防水)の上にかぶせる改修 8,660〜11,400円
- ウレタンの立上り(壁際の立ち上がった部分) — 新設 5,780円/改修 6,250円
- 改質アスファルトシート防水・トーチ工法 — 新設 5,440〜8,110円/かぶせる改修 5,720〜8,760円
- 改質アスファルトシート防水・常温粘着工法 — 新設 8,310円/かぶせる改修 5,420〜8,930円
- アスファルト防水・露出絶縁工法 — 5,840〜7,190円
- 断熱材付きのアスファルト系防水 — 12,800〜29,200円(断熱材の厚さ50〜150mmで変わる)
- 合成高分子系シート防水・接着工法 — 7,330円(表に材質の記載はない)
上は、札幌市が自ら価格を調べて決め、令和8年4月に公表した「建築工事設計資材単価表」の値で、どれも1㎡あたり・材料と手間の両方込みです。アスファルト系の絶縁工法の値には、湿気を逃がす脱気装置が含まれています。
同じ工法でも、面積が小さいほど1㎡あたりは高くなります。ウレタン密着工法の新設は100㎡未満で8,000円、100〜300㎡未満で7,100円。かぶせる改修は100㎡未満で8,640円、300㎡以上で6,540円です。
国土交通省の公共建築工事積算基準では、工事費を、工事の項目ごとの費用(足場などその工事に要る仮設を含む)、現場全体の仮設費・現場管理費・会社の一般管理費等、消費税の3つに分けて積み上げます。単価表の1㎡あたりの値は、このうち防水の項目の分だけです。
施工会社が公開している平米単価
- ウレタン防水・密着工法 — 2,500〜5,500円(9社)
- ウレタン防水・通気緩衝工法 — 4,500〜11,000円(8社。戸建て向けの1社を除くと4,500〜6,600円)
- 塩ビシート防水・密着(接着)工法 — 3,500〜5,500円(5社)
- 塩ビシート防水・機械的固定工法 — 4,500〜8,800円(8社)
- FRP防水 — 4,000〜8,800円(10社。うち札幌の2社は5,000〜7,000円)
- シート防水(材質・工法の記載なし) — 3,500〜5,000円(札幌の3社)
どれも1㎡あたりで、別々の会社の公開価格を同じ物差しで比べた最小〜最大です(2026年10月に確認。税込と税の記載なしが混在)。北海道で工法まで書いて価格を出している会社が少なく、札幌と書いたもの以外は全国の例です。アスファルト防水は、公開価格をそろえて比べられる会社が少なかったため、札幌市の単価だけを載せています。

札幌市の単価と会社の価格に差があるのはなぜか
並べると、札幌市の単価のほうが高く見えます。札幌市の値は、国の標準仕様書の工法の種別(X-1、X-2、AS-T1 など)ごとに、公共工事の予定価格を積算するための値です。一方、会社の表示の多くは「〜円から」という下限で、下地調整・ドレン・脱気筒を別の項目にしている会社が多く見られました。
どちらが正しいということではなく、含む範囲と前提が違うということです。会社の見積りを比べるときは、平米単価の安さより先に、どの工法で何層塗るのか、何が別の項目になっているのかをそろえて見てください。
平米単価のほかにかかる費用 — 撤去・下地・ドレン・トップコート
- 既存の防水層の撤去 — 1㎡あたり750〜2,800円(5社。ウレタンは安く、アスファルトは高い側)
- 下地調整(下地を平らに整える薄塗り) — 1㎡あたり600〜1,000円(3社)
- 改修用ドレン(排水口にかぶせる新しい排水金物) — 1か所10,000〜20,000円(5社)。札幌市の単価では17,800〜19,500円
- 防水層の端を押さえる金物 — 1mあたり1,850〜3,010円(札幌市の単価。塩ビ鋼板〜アルミ)
- 排水口の詰まりの洗浄 — 札幌市の単価で基本38,000円+1か所23,000円(5階程度の公営住宅を想定した施工費)
- トップコートの塗り直し — 1㎡あたり900〜1,650円(4社)
- 脱気装置(脱気筒) — 要る数は屋上の広さと形で変わる。1か所の値段は、比べられる形で確かめられなかった
見積書では、これらが平米単価に含まれているのか、別の行になっているのかを確かめます。ふくれが多い屋上では、湿気を逃がす工法や脱気装置が要ることがあります。その考え方は『屋上防水のふくれの原因と補修 — 放っておいてよいか、直し方と費用』で説明しています。
総額が面積だけで決まらない理由 — 足場・搬入・下地・断熱
- 足場と落ちないための設備 — 屋上の外周に手すりが無ければ、安全のための設備が要る。外壁の工事と同じ時期なら足場を共用できる
- 材料の搬入 — エレベーターや階段で運べるか、クレーンが要るか
- 下地の傷み — ひび割れ・浮き・水を含んだ古い層の量。開けてみて増えることがある
- 断熱 — 断熱材を入れる工法は、札幌市の単価で1㎡あたり12,800〜29,200円と、入れない工法より高い
- 立上り・端部・設備の基礎 — 面積が同じでも、壁際や架台のまわりが多いと手間が増える
- 面積 — 小さい屋上ほど1㎡あたりが高い
たとえば、平場100㎡の屋上を、コンクリートで押さえた屋上の上から通気緩衝工法でかぶせる場合、札幌市の単価(100〜300㎡未満 10,200円)を当てはめると、平場だけで102万円の計算です。これは相場ではなく単価を当てはめた計算で、ここに立上り、改修用ドレン、端の金物、下地の補修、足場と仮設、現場と会社の経費、消費税が加わります。
撤去する工事では、古い材料に石綿(アスベスト)が含まれていないかを事前に確かめる必要があり、含まれていれば手順と費用が増えます。

値段が上がっている理由 — 北海道の防水工の労務単価
国土交通省が毎年決める公共工事設計労務単価では、北海道の防水工は1日(8時間)33,300円です(令和8年3月から。前年は31,200円で、6.7%の上昇)。足場を組むとび工は30,000円、普通作業員は21,500円です。全国・全職種の平均も25,834円と、初めて25,000円を超えました(前年比4.5%)。
この単価は職人に払う賃金の目安で、会社の経費(法定福利費・安全管理・一般管理費など)は含みません。国土交通省は参考として、雇用に必要な経費を足した額も示しており、北海道の防水工では49,200円です。数年前の見積りと比べるときは、この上がり方も頭に入れておいてください。
いつ、何にお金がかかるか — 修繕の周期と工事の中身
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン(2024年6月改定)の記載例では、防水層がむき出しの屋上(露出防水)は、12〜15年ごとに下地処理とトップコートの塗り直し、24〜30年ごとに撤去して新しくする(例: 改質アスファルト防水で撤去・新規防水)周期です。コンクリートで押さえた屋上(保護防水)では、12〜15年ごとに伸縮目地の打ち替えと押さえコンクリートの部分補修、24〜30年ごとに下地処理のうえウレタン塗膜防水の通気緩衝工法でやり直す例になっています。
屋上防水のお金は、「トップコートや部分補修の小さな出費」と「全面のやり直しの大きな出費」の2段で考えます。耐用年数の目安と、かぶせるか撤去するかの選び方は『屋上防水の種類と耐用年数 — 改修工法(かぶせ・撤去)の選び方』で説明しています。
見積書で確かめること
- 工法の名前と種別(密着か通気緩衝か、何層か、材料のメーカーと製品名)
- 平場と立上りの面積が、分けて書いてあるか
- 撤去するか、かぶせるか。撤去なら廃材の処分費が入っているか
- 下地の補修が「一式」か数量か。開けてから増えたときの単価
- 改修用ドレン・脱気装置・端の金物の数
- 足場・仮設・材料の搬入(クレーン)
- 保証の年数と範囲、工事のあとの点検
- 税込か税抜か
2〜3社から、同じ工法・同じ範囲で見積もりを取ると比べやすくなります。1社だけ極端に安い場合は、工程や項目が抜けていないかを確かめてください。

費用を抑えるためにできること
- 漏れる前に直す — 下の層まで水が回ると、かぶせる工法が使えず、撤去の費用が加わる
- トップコートの塗り直しの時期を逃さない — 防水層そのものの傷みを遅らせる
- ほかの工事と時期を合わせる — 外壁などの工事と同じ時期にすると、足場をまとめられる
- 同じ条件で見積もりを比べる — 工法と範囲をそろえる
国の長期修繕計画作成ガイドラインでも、修繕工事をまとめると、足場などの仮設の費用を減らせる面があるとしています。ただし、傷みを待ちすぎると工事が大きくなるので、点検の結果を見て時期を決めます。
相談する前に確かめておくこと
- 屋上のおおよその広さ(図面があれば図面)
- 前回の防水工事の時期と工法
- 漏れの有無と場所、雨や雪解けとの関係
- 屋上への上がり方と、材料を運ぶ経路
- 屋上の写真(全体と、気になる所の近く)
当社では、屋上・ベランダの防水と雨漏りの修理を、下地の状態を確かめてから工法を決めてお引き受けしています。現地確認・お見積りは無料です。
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