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公開 保全工事

シーリング(コーキング)の打ち替えと打ち増しの違い — 時期と手順

シーリング(コーキング)の打ち替えは、古いシーリング材を取り除いてから新しく詰め直す工事、打ち増し(増し打ち)は、古いシーリング材を残したまま、その上に新しいシーリング材を足す工事です。外壁の目地は、打ち替えが基本です。国の公共建築改修工事標準仕様書が挙げるシーリングの改修の工法も、古い材料を取り除いて詰め直す方法と、古い材料をテープで覆ってから幅を広げてかぶせる方法で、上に足すだけの打ち増しは入っていません。

打ち替えの時期の目安は、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインの例で12〜15年です。この記事では、違いと使い分け、劣化のサイン、手順、材料、北海道での注意を順に説明します。

シーリングとコーキングの違い — 呼び方と役割

シーリング材は、外壁の板と板のすき間や、窓枠と壁のすき間(目地)に詰める、ゴム状の材料です。国の仕様書では「シーリング材」と呼び、JIS A 5758(建築用シーリング材)に合うものを使うとしています。メーカーの製品名には「〜コーク」と付くものも多く、現場や日常の会話では「コーキング」とも呼ばれます。指しているものは同じです。

役割は、雨水と空気を止めることです。外壁の部材は、日差しや冷え込みによる伸び縮み、地震、風などでわずかに動きます。シーリング材は、その動きに合わせて伸び縮みしながら、すき間を埋め続けます。メーカーの技術資料では、目地を、動きが比較的大きいワーキングジョイント(金属パネルや窯業系サイディングの目地など)と、動きが小さいノンワーキングジョイント(鉄筋コンクリートの打継ぎ目地や窓枠まわりなど)に分けています。

打ち替えと打ち増し(増し打ち)の違い

  • 打ち替え — 古いシーリング材をカッターで切り取り、目地を清掃してから、プライマー(接着をよくする下塗り)を塗って新しく詰める
  • 打ち増し(増し打ち) — 古いシーリング材を残したまま、その上に新しいシーリング材を重ねる
  • ブリッジ工法 — 古いシーリング材を、シーリング材がつかないテープ(ボンドブレーカー)で覆い、その上に幅を広げて新しいシーリング材をかぶせる

国の公共建築改修工事標準仕様書(令和7年版)は、シーリングの改修工法として、シーリング充填工法、シーリング再充填工法、拡幅シーリング再充填工法、ブリッジ工法の4つを挙げています。再充填工法は、古いシーリング材を目地の縁に沿ってカッターで切り込み、できるだけ取り除いてから、サンダーや溶剤で清掃して詰め直す方法で、一般に打ち替えと呼ばれるものです。拡幅シーリング再充填工法は、目地をダイヤモンドカッターなどで広げてから詰め直します。

古い材料を残す方法として仕様書にあるのはブリッジ工法だけで、そのブリッジ工法も、新しいシーリング材がつくかどうかを先に接着性の試験で確かめることになっています。

養生テープを貼った目地に、新しいシーリングを詰める手元

打ち増しのデメリット — 外壁の目地で打ち替えが基本になる理由

  • 厚みがとれない — 古い材料が目地の中に残るぶん、新しく足した層は薄くなる
  • 薄いと傷みやすい — メーカーの技術資料は、シーリング材を塗料のように薄く使うと、紫外線などで劣化し、白亜化(表面が粉をふく状態)が起きやすいとしている
  • 古い材料ごとはがれる — 下の古い材料が壁や窓枠からはがれていれば、上に足した材料もいっしょに動く
  • 種類によってはつかない — メーカーの打継ぎの目安では、先に打ったシリコーン系の上には、変成シリコーン系やポリウレタン系などほかの種類はつかないとされている

新築の工事について国が定めた標準仕様書は、特に指定がない場合、一般の目地の幅と深さをどちらも10mm以上としています。シーリング材は、ある程度の厚みがあることで、目地の動きに合わせて伸び縮みできます。目地の表面に薄く足しただけでは、その厚みがとれません。

打ち替えと打ち増しの使い分け — 打ち増しを考えてよい条件

  • 古いシーリング材が壁や窓枠にしっかりついていて、切れやはがれがない
  • 新しく足す材料が、古い材料の上につく組み合わせだと、メーカーの資料や試験で確かめてある
  • 新しく足す材料の厚みが、きちんととれる

打ち増しを考えてよいのは、少なくとも上の3つがそろうときです。古い材料がすでに切れたり、はがれたりしているなら、その上に足しても長くはもちません。

窓枠のまわりなど、古い材料を取り除く作業でまわりの部材を傷めるおそれがある所では、ブリッジ工法のように古い材料を残す方法も含めて考えます。どの目地をどの方法にするかは、目地の場所と、古い材料の状態を見てから決めます。

工事のあとで打ち替えか打ち増しかを見分けるのは難しいため、古い材料を取り除いたあとの空の目地の写真を、工事の記録として残してもらうと安心です。

シーリングの劣化のサイン

  • 破断(切れ) — シーリング材の真ん中が裂けている
  • はく離(はがれ) — シーリング材と壁や窓枠の間にすき間ができている
  • ひび割れ — 表面に細かいひびが入っている
  • 肉やせ — シーリング材が痩せて、目地の中にへこんでいる
  • 白亜化(チョーキング) — 触ると白い粉が付く
  • 欠損 — シーリング材の一部が無くなっている

国が定めた、中古住宅の状態を確かめるときの方法の基準では、外壁・窓まわり・軒裏の「シーリング材の破断又は欠損」を、目で見て確かめる項目にしています。切れやはがれは、そのまま雨水の入口になります。

新しいのに早くはがれた場合は、施工の問題も疑います。メーカーの技術資料は、シーリング材がくっつける相手の面からはがれる原因として、プライマーの塗り忘れ(部分的な塗り忘れ)が最も多く、ほかに接着する面積の不足、下地の乾燥不足や清掃不足などを挙げています。

夕暮れの中層マンションの外観

シーリング打ち替えの時期の目安 — 12〜15年

国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン(2024年6月改定)は、修繕周期の例として、外壁の目地・建具まわり・部材の接合部などのシーリングの打替えを12〜15年としています。同じ例で、外壁の塗装の塗り替えやタイルの補修、足場などの仮設も12〜15年です。

ガイドラインは、修繕周期は建物の仕様や立地によって決め、劣化の状況を確かめた結果で見直すこと、工事をまとめると足場などの費用を減らせることも書いています。シーリングの打ち替えは、外壁の塗装と同じ足場で行うことが多い工事です。建物全体の修繕の流れは『大規模修繕の流れと周期 — 何年ごとに、着工前に何を決めるか』でまとめています。

この数字はマンションの計画のための例で、実際の傷み方は材料や日当たりで変わります。北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所が札幌で行った、窯業系サイディング用シーリング材の屋外暴露試験でも、種類や製品によってひび割れや汚れの出方に差が見られました。年数は目安にして、実際の時期は劣化のサインで判断します。

シーリング打ち替えの手順

  • 1. 古いシーリング材を取り除く — 目地の縁に沿ってカッターで切り込み、できるだけ取り除く
  • 2. 清掃する — 残った材料や油分、ほこり、錆を落とし、下地を十分に乾かす
  • 3. バックアップ材かボンドブレーカーを入れる — 目地が深いときは発泡材などのバックアップ材を入れて深さをそろえ、深さが合っているときは目地の底にボンドブレーカーを張る
  • 4. マスキングテープを張る — 目地の縁を汚さないように養生する
  • 5. プライマーを塗る — 塗り残しのないよう、均一に塗る
  • 6. 充填する — メーカーが指定する時間内に、ガンで押し込むように詰める。打ち始めは目地の交わる所や角から
  • 7. へらで仕上げる — へらで押さえて下地に密着させ、表面を平らにしたら、すぐにマスキングテープをはがす
  • 8. 確かめる — 正しく詰まっているか、硬化と接着の状態を、目と指で確かめる

この流れは、国の標準仕様書にある手順を順に並べたものです。3のバックアップ材とボンドブレーカーは、シーリング材を目地の両側の2面だけにつけ、底にはつけないための材料です(二面接着)。底にもついた三面接着だと、目地が開いたときにシーリング材が伸びきれず、切れやすくなります。仕様書は二面接着を基本とし、動きの小さい打継ぎ目地や建具枠まわりなどは三面接着でもよいとしています。

プライマーを塗ったあとにごみが付いたときや、その日のうちに詰められなかったときは、清掃し直して塗り直すことになっています。上から塗装をかける場合、シーリングは原則として塗装の前に行います。

シーリング材の種類と選び方 — 変成シリコーン・ポリウレタン・シリコーン

  • 変成シリコーン系 — 金属どうし、押出成形セメント板、塗装しないALCなど、外まわりで広く使う。施工後に塗装できる製品がある
  • ポリウレタン系 — 上から塗装する前提で使う。紫外線による劣化を防ぐため、表面の塗装を求める製品もある
  • シリコーン系 — ガラスまわりや、浴室などの水回り(防かびタイプ)。表面に塗料がつかない
  • ポリサルファイド系 — 石張りの目地や、塗装しないコンクリートの打継ぎ目地など

上の使い分けは、国の公共建築改修工事標準仕様書の「被着体の組合せとシーリング材の種類」の表によるものです。同じALCでも、シーリング材の上に塗装などの仕上げをかける場合はポリウレタン系、かけない場合は変成シリコーン系と、仕上げの有無で分けています。

シリコーン系は耐候性に優れる一方、メーカーは、表面に塗料がつかないこと、石材・タイル・塗装パネルなどの目地に使うと目地のまわりが汚れることがあることを注意書きにしています。外壁の目地にシリコーン系を使うと、あとで塗装ができず、前に書いたとおり別の種類のシーリング材も上につきません。

シーリング材の上に塗装をかける場合も、組み合わせによってはべたつきや汚れ、はがれが出るため、メーカーは塗料との相性を事前に確かめるよう求めています。

マンションのエントランスの集合ポスト

北海道の寒さでの注意 — 冬の施工と、早いはがれ

国の標準仕様書では、雨や多湿で結露のおそれがあるとき、プライマーを塗る時や充填の時に被着体(シーリング材をつける面)が5℃以下(または50℃以上)になるおそれがあるときは、保温などの手当てをしない限り作業を中止することになっています。北海道で外壁のシーリング工事を雪のない時期に集めるのは、このためです。

寒いと、固まるのにも時間がかかります。あるメーカーの変成シリコーン系の製品では、表面のべたつきがなくなるまでの時間が、23℃で2〜7時間なのに対し、5℃では48時間以内とされています。同じメーカーの技術資料は、施工したシーリング材の接着を現場で確かめるまでの養生の目安を、夏は1週間、冬は2週間以上としています。ポリウレタン系などは、目地が濡れていると水分と反応してふくれることがある、とも書いています。

先に挙げた北方建築総合研究所の屋外暴露試験は、窯業系サイディング用のシーリング材で早いはく離などが見られたことから行われたもので、プライマーを適切に塗れば早いはく離は起きなかったと報告しています。寒い地域ほど、下地の乾燥と清掃、プライマーという基本が効いてきます。切れた目地から入った水は、冬に凍って膨らみ、まわりの外壁を傷めます。その仕組みは『凍害とは?外壁・コンクリートの症状と対策 — 北海道の建物が傷む理由』で書いています。

自分でシーリングを打ち替えるときに避けたいこと(DIY)

  • 脚立やはしごが要る高さの目地に手を出す(目地より、落ちる危険のほうが大きい)
  • 外壁の目地に、シリコーン系を使う
  • 古い材料の上に、薄く足すだけで済ませる
  • 動く目地に、ボンドブレーカーを入れずに詰める
  • 新築から10年以内の住宅で、建てた会社に相談せずに手を入れる

自分でやってよいのは、地面に立ったまま手の届く高さの、短い目地の応急の手当てと、浴室やキッチンまわりなど室内の水回りの打ち直しまでです。外壁の目地は長さがあり、手順の一つが抜けても早くはがれます。

消費者庁が2014年に公表した注意喚起では、脚立・はしごからの転落事故の情報が437件寄せられ、その大半は庭木の剪定や屋根の修繕など、住宅のまわりの作業中でした。新築の住宅は、住宅品確法で、雨水の浸入を防止する部分の欠陥について引き渡しから10年間、建てた会社などが責任を負います。先に相談してください。

ご自分で補修した所は、使った材料と場所を、工事を頼むときに伝えてください。材料によって、取り除き方や上に使える材料が変わります。

シーリング工事の費用は何で決まるか

  • 目地の長さと本数(外壁の目地・窓まわり・換気口や配管のまわり)
  • 打ち替えか、打ち増しか(古い材料を取り除く手間)
  • 足場や高所作業車が要るか
  • シーリング材の種類
  • 目地の幅と深さ
  • 外壁の塗装と一緒に行うか

見積書では、場所ごとの方法(打替え・増し打ち)、材料の種類、数量(目地の長さ)が書いてあるかを確かめてください。保証の有無や期間、何を保証するかは工事ごとの契約で決まるので、書面で受け取ってください。外壁のひび割れも一緒に直す場合は、『外壁のひび割れ(クラック)の原因と補修方法 — 放置してよい幅・危ない幅』も参考にしてください。

夜の駐輪場

相談する前に確かめておくこと

  • 外壁の材料(サイディング・ALC・タイル・コンクリート・金属パネルなど)
  • 建てた時期と、前にシーリング工事をした時期
  • 切れやはがれが見える場所の写真(窓まわり・外壁の目地)
  • 雨漏りやしみが出ているか
  • 外壁の塗装も考えているか

分かる範囲で構いません。合同会社LIT(札幌市)では、外壁補修として、ひび割れ・欠けの補修やシーリングの打ち替えを承っています。現地確認・お見積りは無料です。

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