大規模修繕は、工事の内容そのものより、住んでいる方への説明で止まることが多い工事です。足場が建ち、窓が開けられなくなり、洗濯物が干せなくなる期間が生まれるためです。
1. どこまでやるか、どこはやらないか
予算に収めるために範囲を切ったのに、その説明が住民に届いていないと「なぜうちの面だけやらないのか」になります。
やらない場所と、その理由を先に文章にしておいてください。理由が「今回は急がないから」であれば、そう書けば通ります。
2. いつ、何が使えなくなるか
足場の期間、バルコニーに物を置けない期間、窓を開けられない日。この3つは必ず聞かれます。
日程が多少前後するのは避けられませんが、前後する可能性があること自体を先に伝えておくと、遅れが不信につながりません。

3. 説明に使える材料を、工事の側から出してもらう
「なぜこの工事が必要か」を、管理組合の役員の方が一から説明するのは大変です。原因の写真、どこから水が入っているかの図、直したあとどう変わるか。
当社では、原因の特定と、記録に残る形での報告をお出ししています。そのまま説明の材料にしていただけます。
4. 工事中の安全と、駐車場の扱い
足場が建つと、いつもの動線が変わります。資材の搬入日は、駐車場の一部が使えなくなります。
ここに人を立てるかどうかで、住民の方の負担が変わります。警備と工事を同じ窓口でまとめられると、日程の調整が1回で済みます。
大規模修繕は、どんな流れで進むのか
- 1. 建物の診断 — 外壁、屋上、鉄部、設備の傷み具合を確かめます
- 2. 工事の範囲と内容を決める — 診断の結果と、長期修繕計画、積立金の状況を突き合わせます
- 3. 施工する会社を選ぶ — 同じ条件で見積りを取り、比べます
- 4. 総会で決める — 工事の内容と費用について、管理組合として決議します
- 5. 住民への説明会 — 工事の期間、使えなくなるもの、連絡先を伝えます
- 6. 着工から完了まで — 途中の変更の扱いと、完了時の確認
上で書いた「やらない場所の説明」や「説明に使える材料」は、1と2の段階で用意しておくものです。着工の直前に慌てて作ると、説明会で答えられない質問が残ります。
決議の方法は、工事の内容や管理規約によって変わることがあります。管理会社や専門家と一緒に確かめてください。

住民アンケートで、見えない不具合を集める
外から見て分かる傷みは、診断で拾えます。一方で、部屋の中でしか分からない不具合は、住んでいる方に聞かないと出てきません。
窓まわりの雨漏り、結露、バルコニーの排水の詰まり、玄関扉の開けにくさ。こうしたことを工事の前にアンケートで集めておくと、範囲に入れるべき場所が見つかります。答えた方にとっても、自分の困りごとが工事に反映されたと分かるので、説明の場が穏やかになります。
漏れの原因の探し方は、コラム『「直したのに、また漏れる」が起きる仕組み』で書いています。
北海道では、工事の季節から逆算する
外壁の塗装や屋上の防水は、雪が積もっている間や気温の低い時期には進められません。足場を建てて行う外まわりの工事は、雪のない時期に集めるのが基本です。
その時期に着工するには、診断から総会の決議までを、それより前に終えておく必要があります。どの季節に工事をしたいかから逆に並べて決める順番を組んでおくと、「決議が間に合わず、工事が1年延びる」ということを避けられます。屋上防水の工法の違いは、コラム「屋上防水の直し方は、大きく3つある」でまとめています。
窓口はひとつにできます
当社は警備・保全工事・サイネージを一社で受けています。工事の日程と、警備の配置と、掲示板やサイネージでの案内を、同じ担当が通して組み立てられます。
手配先が分かれていると、変更のたびに全部へ連絡が要ります。そこが減るだけでも、役員の方の手間は変わります。











